切削条件による影響

切削加工で最も望まれることは、加工時間が短く、工具寿命が長く、そして加工精度が良いことです。それには被加工物の材質、かたさ、形状、状態と、工作機械の性能をよく考慮して、工具を決定し、能率的な切削条件の選定が必要になります。

切削速度

切削速度は工具寿命に大きく影響します。切削速度が速くなると、切削温度が上昇し、工具寿命は極端に短くなります。被削材の種類やかたさによって切削速度は違ってきますが、それに対応する適正な工具材種の選択が必要になります。

切削速度による影響

  1. 切削速度を20%上げると工具寿命は2分の1、切削速度を50%上げると工具寿命は5分の1に低下する。
  2. 切削速度が低い(20─40m/min)低速度側でもびびり振動が発生しやすく、工具寿命は短くなる。

送り

送りとは、通常バイトの場合、被削材が1回転した時にバイトの進む量をいい、カッタの場合、カッタが1回転した時の機械テーブルが進む量を刃数で割ったもの、すなわち1刃当たりの送り量で表します。
送りは、仕上げ面粗さと大きな関係があり、要求される仕上げ面粗さによって決定される場合がほとんどです。

送りによる影響

  1. 送りを小さくすると逃げ面摩耗が大きくなり工具寿命が極端に短くなる。
  2. 送りを大きくすると切削温度の上昇により逃げ面摩耗が大きくなるが、工具寿命への影響は、切削速度に比較すると小さい。
  3. 送りを大きくすると加工能率は向上する。

切込み

切込みは被削材の取り代と、その形状、工作機械の動力、剛性、工具の剛性などによって決定されます。

切込みによる影響

1. 切込み量が変化しても工具寿命は大きく変わらない。
2. 切込みの小さい、微少切込みでは、こすり現象、被削材の加工硬化層を削ることとなり、工具寿命が短くなる原因となります。
3. 鋳肌や黒皮切削の時は、機械動力が許す限り切込み量を大きくしないと、刃先先端が被削材の表面の硬くて、不純物の含まれた個所を削ることとなり、刃先にチッピングや異常摩耗を発生する原因になります。