ワイパーインサートとは

  • ワイパーインサートとは下図のようにコーナ半径と直線刃の接線部分にワイパー(仕上げ刃)を設けたインサートです。
  • 従来インサートと比較して、送り速度を2倍に上げても加工面粗さを維持します。
  • 高送り切削でより効果を発揮します。

・仕上げ面粗さの改善

従来の加工条件でも、送りを上げても加工部品の仕上げ面粗さは向上します。

・能率改善

高送りによる時間短縮だけでなく、荒加工と仕上げ加工の2工程を1工程で加工ができ高能率加工が実現します。

・寿命延長

高送り条件に変更すると、部品1個当たりの加工時間が短縮されるため、インサートのコーナ当たりの部品加工数が増加します。
 また、こすり摩耗が防止でき工具摩耗を遅らせる効果があります。

・切りくず処理改善

高送り条件に変更すると、切りくず厚みが大きくなるため、切りくずが分断しやすくなり、切りくず処理が改善されます。

ワイパーインサート使用時仕上げ面粗さ概算

ワイパーは外内径および端面加工に対して効果を発揮します。

※R部やテーパ角5度以上の加工では標準インサートと同程度の粗さになります。

CNMG・WNMG・CCMT タイプをお使いになる場合、特に注意は必要ありません

ホルダ制約なし

標準のホルダをそのまま使えます。
(*ただし、高送り加工時に優位となる高剛性のダブルクランプバイトを推奨します)

加工プログラム修正不要

現在の加工プログラムをそのまま使えます。
(CNMG・WNMG・CCMTタイプはISO/ANSI準拠しています)

DNMX・TNMXタイプは先端が特殊形状のため、お使いになる場合注意が必要です

ホルダ制約あり

ワイパー効果を得るために前切れ刃角93°のホルダを使用してください。
91°ホルダでは若干のワイパー効果が得られます(下図参照)。他の前切れ刃角ホルダ(60°、90°、107°など)ではワイパー効果が得られません。

加工プログラム修正必要

加工誤差が発生する場合があります。
必要に応じ、プログラム修正を行ってください。
(DNMX・TNMXタイプはISO/ANSI準拠していません。)

DNMX・TNMXタイプの加工プログラム修正方法

A)テーパ部修正

* 基礎手順実施が前提となります

ワークに食い込み(最大で0.05mm)ますので、法線方向に逃げ修正を行ってください

注)  修正量がマイナスになっている箇所(θ=60°~70°)は、ワークに対し削り残しています。この場合は、法線方向に追い込み修正を行ってください。

コーナR・テーパ角度別修正量一覧表

B)R部修正

* 基礎手順実施が前提となります

テーパ部同様、食い込みが発生しますので、ワーク半径を変更(修正量をプラス)してください。

B)R部修正

簡易補正方法

コーナR補正で対応する場合:
加工ワークのプログラム修正は不要ですが、近似値による補正ですので、最大で±0.03mmの加工誤差が発生します。

コーナR補正 コーナRごとの補正値を入力ください。

簡易補正方法

その他)DNMX、TNMXとも補正量は同じです。コーナRの大きさによって区別してください。