EDITORIAL vol.9

俺たちは工具屋だ。それを忘れるな。

俺たちは工具屋だ。それを忘れるな。

 私が学校を卒業して、当社に入社した当時、営業実習で初めてお客様に訪問させて頂いていた頃に先輩社員に言われたひと言です。私は、入社以来一貫し超硬工具のビジネスに関わっており、気が付けば30年以上、この業界に関わって仕事をさせて頂きましたが、今でも大事にしている言葉です。

 我々が日々作り出している工具は、お客様の大事な商品に直接接触し、それを形作るために欠かせない、大事な「道具」であります。お客様が競争に勝ち抜くために必要な生産性や品質を確保するために、その「道具」を、確かな品質と高い性能で、確実にお届けすることが、この社会における我々のミッションである、ということをシンプルに思い起こさせてくれるこの言葉の重みを、未だに実感しております。

 今や、世界中のお客様にご愛用頂いている当社の工具ですが、日本の「工具屋」である当社の製品が、1980年代後半に初めて世界の市場で高く評価して頂いたのが、今号でも紹介させて頂いているCVDコーティングインサートでした。当社の海外市場での販売は、1980年代後半から本格化しましたが、正にそのタイミングで、技術が大きく進展した、ということが、本号の記事をお読み頂ければご理解いただけるかと思います。最新のCVDインサートに関してもMC6100シリーズのご紹介をさせて頂いておりますので、是非、そちらもご参照ください。1960年代から、半世紀以上をかけて技術を蓄積し、それをベースに着実に技術の最先端を追求する、お客様のものづくりに貢献できる「工具屋」であり続けたい、という私たちの想いをお届けします。

 「工具屋」である私たちが提供させて頂くのは、単なる「工具」だけではありません。小誌のタイトルにもなっているYour Global Craftsman Studioとして、「工具屋」プラスアルファであることも目指しています。巻末近くでご紹介させて頂いております「MICS」は、私たちの切削技術とお客様の機械加工をデジタルで結ぶ新しい「道具」として、お客様のものづくりに貢献させて頂けることを確信しております。

 我々がたずさわるものづくりの世界にも、刻一刻と変化する社会情勢や、様々な技術の進展により、変化の波が押し寄せています。三菱マテリアルは「変わらないもの」、即ち、お客様の、より高度なものづくりに貢献する責任、をしっかり意識して、これからも進化を遂げていきたいと考えておりますので、引き続きの当社製品・サービスのご愛顧をお願い申し上げます。

三菱マテリアル株式会社
加工事業カンパニー
戦略本部長

小原 和生