龍田 誠

Coating Technology of DLC with Excellent Welding Resistance Based on Welding Mechanism in Al Alloy Cutting

Makoto TATSUDA

Abstract

DLC coated tools are suitable for cutting sticky metals such as Al, Cu, etc, due to their high welding resistance.
However, the welding resistance is not enough for high efficiency and high quality cutting, which is essential for aerospace or automotive industry.
In this study, DLC coating with excellent welding resistance was developed through the investigation of adhesion mechanism of Al welding.
Through the investigation of Al welding adhesion mechanism, thin Al oxide/nitride layer was observed between Al welding and DLC, which suggests that this thin-layer acts as adhesion layer. The amount of Al welding has decreased with the hardness of DLC, because hard DLC contains less sp2 bonds, which are more reactive with O2 or N2 compared to sp3 bonds.

キーワード:DLC,切削工具,耐凝着性

1. はじめに
 DLC(Diamond-Like Carbon)は,黒鉛とダイヤモンドの両方の結合形態を併せ持つアモルファス炭素である(図1)。一般的に,DLC 膜は成膜方法や使用する原料によって炭素結合のsp2/sp3 結合比及び水素結合量といった組成が変化し,組成に応じて高硬度,低摩擦,高い安定性など,数多くの優れた特性を発現させることが可能である。これらの特徴から,DLC 膜は切削工具をはじめ,金型,摺動部材などの耐摩耗・低摩擦コーティング材料として多用されている1)。

 DLC コーティング切削工具は,主にアルミニウム合金や銅合金用の切削工具として使用されている。アルミニウム合金や銅合金は,切削の際に被削材が工具の刃先に凝着しやすく,加工品質の低下や工具の破損を引き起こす場合がある。DLC はこれらの材料との親和性が低いことから,被削材の工具への凝着を抑制し,加工品質や工具寿命の改善に大きな効果を示す。近年,特に航空機部材や自動車部品でアルミニウム合金の使用が増加しており,従ってアルミニウム合金の加工に対するニーズも高まっている。

 航空機部材や自動車部品は,大型で複雑な形状のものも多く,切削加工においては加工時間の短縮や加工品質の向上といったニーズが存在する。しかしながら,既存のDLC コーティング切削工具は耐凝着性が不十分で,高送り条件では凝着に伴う工具の破損を引き起こす場合があった。

 本研究では,アルミニウム合金切削時のDLC 膜への凝着発生メカニズムの考察と,それを踏まえた高耐凝着性DLC コーティングの開発を行った。このうち,本稿ではDLC膜への凝着発生メカニズムの考察について報告する。

ものづくり・R&Dレビュー 第9号(2020)掲載

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