高岡 秀充  大島 秀夫

Technology of the Diamond Coating on Cemented Carbides

Hidemitsu TAKAOKA  Hideo OSHIMA

1. はじめに
 ダイヤモンドの成膜は1981年に無機材質研究所にて成功1)して以来,さまざまな成膜方法の検討がなされてきた2-7)。硬さのみならず,熱伝導率やヤング率など,他の材料と比較して卓越した特性を有するダイヤモンドはその工業的利用が検討され,実際にさまざまなところでの応用8-12)が進んでいる。

 当社においてもダイヤモンドを被覆した超硬合金工具を1986年に他社に先駆けて商品化12)し,おもにアルミニウム合金切削用として販売してきた。しかしながら,生産性が低いことや市場もそれほど大きくないことから,事業撤退した経緯がある。

 しかし,2005年頃から炭素繊維とエポキシ樹脂の複合材料であるCFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastics)の航空機に使用される割合が劇的に増え,この材料の加工用に再びダイヤモンド工具が脚光を浴びることとなった。

 本稿では,超硬合金へのダイヤモンド成膜技術について,その概要を述べることとする。

ものづくり・R&D レビュー 第2号(2013)掲載

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