宮田 武典

 切りくずによる問題は、たとえば面品位が悪くなったり、切りくずが工具に絡まったり詰まったりして、工具が破損してしまうなど多岐にわたって存在する。転削加工では、断続切削になるため切りくずは比較的分断するが、工具径が大きくなると切削距離が長くなるため、切りくずを工具のポケットから排出できなくなり工具の破損に繋がる。また細かく分断させ過ぎると、今度はワークと工具の間に切りくずが噛み込んでしまい、ワークを傷つけてしまうなどの弊害が発生する。

 穴加工における切りくずの大きな問題は、切りくずの排出ができずドリルが折れてしまうことである。ドリルが折れた場合、ドリルを穴から取り出すことが困難であり、生産性を著しく下げてしまう。旋削加工においては、連続切削が多いために切りくずが延びる傾向になり、最初に述べた加工面との接触による面の品位の低下や工具に絡みつくことによる工具の破損を引き起こすことがある。切りくずによる問題は上記以外にもあるが、本稿では、切りくずが延びやすく問題が発生しやすい、旋削加工の外径加工、内径加工それぞれに着目し話を進める。

機械技術(2022年 6月号)掲載

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