辻﨑 久史(Hisafumi Tsujisaki)

1.はじめに
 金型加工業界、部品加工業界において、より一層のコスト削減のため、加工能率の向上と工具費の削減は常に大きな課題であり、関心事項である。ラジアス工具はスクエア工具に比べて、切りくずの厚みを減少させることによって、1刃当たりの送り量を増加させやすい。そのため、特に荒加工において、高送りによる加工時間短縮の手法として用いられてきた。また切削工具の経済性に関しては、コーティングや超硬材料の改良による長寿命化や、刃先交換式工具の多コーナ化、インサートの両面を使えるネガ形状の活用などが、トレンドとなっている。

 本稿では、高送り加工に最適化された切れ刃形状を持つ疑似ラジアス工具により、加工能率の向上を実現しつつ、両面インサート式を採用することによって同時に経済性の向上を果たした「WJXシリーズ」を紹介する(図1)。

機械技術(2019年 3月号)掲載

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