橋本 達生(Tatsuo Hashimoto)

1.はじめに
 近年、金型加工における高硬度材加工への要望が、ますます高まってきている。その理由としてプレス鋼板の高強度化や、金型の寿命を改善するために、より高硬度な材料を金型材に適用するようになってきていることがあげられる。このような背景のもと、当社では高硬度材加工に適したコーティング、超硬素材、形状を採用したインパクトミラクルエンドミルシリーズを商品化し、60HRCクラスの焼入れ鋼の加工において好評をいただいている。

 しかしながら、さらなる高硬度材の加工要望に対しては、新たなコーティングの開発が急務となっていた。本稿では、先述の課題をターゲットに、当社が開発した新コーティングであるインパクトミラクルレボリューションコーティング(以下、VFRコーティング)を適用した高硬度鋼加工用ボールエンドミルVFR2SBを紹介する。

 また、その他の金型加工における要望の1つに、切削加工後の加工面改善があげられる。現状、加工面の面粗さおよび光沢を向上させるために、作業者が手仕上げを実施しているが、その作業にかかる時間の短縮、究極的にはその削減に対するニーズは根強い。これを解決するツールとして、VFRコーティングと当社のスマートミラクルエンドミルシリーズに適用している表面改質技術を進化させた新ZERO-μサーフェスを融合させ、切削加工のみで、ほぼ鏡面の加工面を達成した鏡面加工用ボールエンドミルVFR2SBFについても紹介する。

機械技術(2017年 2月号)掲載

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