村田 和久(Kazuhisa Murata)

1.はじめに
 航空機、医療機器、自動車部品などの加工現場では、多品種・少量生産への対応、短納期、コスト削減が常に求められており、そのような中でハイスドリルには多様な被削材に対応できる汎用性、突発的なトラブルが生じない安定性、生産コストを低減できる経済性が求められている。

 この中で特に安定性に関しては、切削工具母材が超硬合金などの硬く、耐熱性・耐摩耗性の高い材料が主流になっている中で、欠けにくい、折れにくいという特長により市場ではまだまだハイス工具が信頼されている事実がある。その一方で、加工した穴に拘束されるというドリル特有の加工状況に起因する切りくず排出トラブルや、貫通穴における抜けバリによる品質トラブルの改善要望が非常に多いということもまた事実である。これらは、過去より長きにわたり改善テーマとされてきた課題であり、当社では、そのようなトラブルに対応するべく、今回新たにSE 高精度ドリルシリーズ「SEPDS/M」を開発した(図1)。

 本稿では、SE高精度ドリルシリーズの特長と加工事例について紹介する。

機械技術(2016年 9月号)掲載

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