田中 洋光(Hiromitsu Tanaka)

 従来、インコネルに代表されるNi 基耐熱合金は、熱伝導率が低い、加工硬化しやすい、溶着が発生するなどの理由から、非常に加工が難しく超硬エンドミルによる加工では切削速度30~60 m/min と、一般鋼の切削に比べ非常に低速であった。また、工具に与える損傷も大きく、エンドミル加工においては工具寿命が数m と短く、特に切りくず除去量の多い荒加工においては、加工能率・工具寿命ともに改善の要望が大きかった。

 Ni 基耐熱合金は図1 に示すように、800℃ を超えると強度が低下しはじめることが知られており、高温化では加工が容易となる。しかしながら、超硬を母材とする工具では同様に800℃ を超える環境では硬度の低下が発生し、実際の加工ができなくなってしまう。そのため、当社では高温での硬度に優れたセラミックをエンドミルの母材とすることにより、耐熱合金を高速・高能率に加工することができるエンドミルを開発した。本エンドミルの外観を図2 に示す。

機械技術(2016年 2月号)掲載

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